銀行 オフィスの風景

【わかりやすい】銀行員の出向の実態 元メガバンカーが調査

銀行員の出向

銀行に在籍すると出向は避けて通れません。

出向にはいくつかパターンがあります。

 

  • 自分の明るい未来を切り開くキャリアアップの出向
  • 融資や運用商品販売営業以外のスペシャリストになる出向
  • 銀行業務以外のことをするため、新たなチャレンジをする出向
  • ポストが空いていないために行う出向

 

この記事では、私が銀行員時代に見てきた「銀行員の出向」のリアルをお伝えします。

執筆者
10年以上の銀行員経験を持ち、メガバンクで資産運用から金融商品の提案・販売まで多岐にわたる業務を経験。証券外務員一種二種に合格し、ファイナンシャルプランナーとして1000件以上の相談に対応。銀行からの出向者と仕事をともに行い、出向後の実体験をヒアリング。その専門性と信頼性で読者に役立つ情報を提供します。

 

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銀行員の出向 キャリアアップ目的の出向

キャリアアップ

20代 上司から指示された出向

銀行員 出向

20代で出向になることもあります。

それはどういうケースかというと、上司から行員の将来のことを考えて銀行の関連会社へ出向することを提案されるケースです。

この場合は「銀行に籍を置いたままの出向」。つまりは銀行員のまま他の会社に行くこと。

 

例えば、証券会社、信託銀行といった会社が代表的な出向先となります。

銀行員はお金を貸したり、運用の案内をするだけではありません。

1人のプレイヤーがマネジメントになるためには限られた業務の知識だけでは足りません。

銀行だけではなく、グループ全体の仕事内容も分かっていることが望ましいとされます。

そのため、本来の業務以外のことを学ぶことが、将来のキャリアアップに繋がると考えられています。

こういった場合には、事前に上司から関連会社への出向を打診されます。

 

20代~30代 行員が自ら申し出た出向

20代から30代の行員は構内の公募制度を通じて関連会社へ出向できます。

ただし、公募制度で関連会社に行けるかどうかは努力次第。

倍率も高いことから思い通りにいかないケースが多々あります。

公募制度は少なくとも半年に一回あります。

一度、自分が希望する関連会社へ出向できなかった場合、再度挑戦することができます。

しかし、自分が希望する出向先が次の公募にもあるかどうかは分かりません。

 

銀行員の出向 40代での出向

銀行で出世を望めない

銀行員の出向というのは、銀行に籍を置きつつ、関連会社で仕事をすることを意味します。

給与は銀行から引き続き支払われます。

実際の仕事内容は出向先の関連会社の指示に従うこととなります。

新しい事業や部署が銀行内で創設し続けられない限り、下の世代の役職者の銀行員の数は増加の一途をたどります。

既に役職者の銀行員は年々、入れ替わります。まるで玉突きのように動きます。

出世のレースから外れた銀行員を支える余裕は今の銀行にあまりありません

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銀行 出向

 

出世コースからはずれる 仕事ができない銀行員

出向する銀行員の特徴は「将来的に出世を望めない人」です。

これは銀行員の能力的な問題とともに、今後、銀行で就けるポストがないということも理由に挙げられます。

出世コースから外れた銀行員がそのまま銀行内に残った場合、次の世代が上がってくると、その世代に渡すポスト(役職)がなくなってしまいます。

つまりは上が詰まっている状況になります。

 

 

特に銀行は人員削減を行っており、支店の数が減っています。支店の数が少なくなれば、当然にポストの数も減ります。

そのまま銀行に居続けられなくなった場合には、銀行に戻ってこれない「片道切符の出向」にあることも。若いうちはあまりないケース。

40代・50代

40代半ばから50代にかけて、銀行員は他の会社へ出向ケースがでてきます。

銀行の方向性として「行員の数を減らしていきたい」といったときには、出向する年齢が下がることも出てくるでしょう。

支店長レベルの役職でも同じような現象が起こる場合有。

 

最近では、40代・50代の銀行員でも、出向する先が少なくなってきています。そのため、他の会社へ出向せずに本部に在籍したままの銀行員も増えています。

出向前研修

40代になり出稿の時期が近づくと、本部主催の出向前研修に参加させられます。

この研修の目的は

  • 出向の時期が迫っていることを行員に暗示する
  • 出向した後に、収入が激減するため、生活に困ることがないようにライフプランの説明をする

といった内容。

銀行員の辞令は突然です。突然の辞令に驚かないように、本部ではこのような研修を企画します。
住宅ローンを抱えている銀行員もいます。出向によって、収入が変わるとライフプランも変わりますからね。

 

片道切符 島流し

 

 

一般的には出向のことを「片道切符の島流し」と呼ぶ傾向があります。

聞こえは良くありませんが、首を斬られての退職ではありません。

今後も継続して銀行から賃金を得られると言う意味では悪いことではありません。

銀行の構造を考えれば、当然のことであり、驚くことではありません。

 

例外として、片道切符と言われますが出向先に馴染めなかった場合には銀行に戻ってくることもあります。

 

 

20代の銀行が出向させられたケース

20代で出向させられる銀行員もいます。

キャリアアップでも上司からの推薦でもありません。通常の業務に問題があるため、若くして関連会社に出向させらることも。

銀行の他部署ではなく関連会社に出向することはとても衝撃的。

銀行内で仕事を振ることができない行員や問題がある銀行員は、若くして関連会社に出向することがあります。

(稀なケース)

 

出向先

取引先企業

銀行員 出向

出向先の1つ目に挙げられるのは、銀行と融資関係にある会社です。

銀行と親密にある会社は銀行員を受け入れる場合があります。

最近では銀行員を受け入れる取引先企業が減っており、銀行も出向先を探すのに苦労しています。

もし、支店の営業マンが取引先企業で行員の受け入れ先を見つけたら、本部に報告をすることに。

 

取引先企業は行員を受け入れると、「自分たちの会社の経営をより良い方向に進ませてくれるのでは」と期待します。

ただし、何十年も銀行で仕事をしてきた銀行員は取引先企業に出向しても、使えないと言う評判が多い。

そのため、取引先に出向した行員は1年も経たずに銀行に戻ってくるケースがあります。

「出向先企業も業績が上がったり、業務効率が上がる」「出向した銀行員も給与が増える」
なんてことが一番理想ね♪

銀行の関連会社

銀行員の出向先は取引先企業だけではなく、銀行の関連会社と言うケースもあります。

銀行の関連会社は支店長レベルの出向先も多くあります。

同じグループ内だと銀行からの出向者は有利な立場になれます。銀行から出向しても仕事をやりやすい環境が多いため、人気が高いです。

銀行員が支店で働いていて、関連会社と共同して仕事をしたり、物品を発注した際に連絡を取った相手がもっと上司だったと言うことも多々あります。

 

メガバンク3行の関連会社 一例 

みずほ銀行関連会社

みずほキャピタル株式会社 みずほ債権回収株式会社 みずほ信用保証株式会社 みずほビジネスパートナー株式会社
ベンチャーキャピタル業務 債券管理回収業務 信用保証業務 事務受諾業務、人材派遣業務

三菱UFJ銀行関連会社

三菱UFJ信託銀行 三菱UFJモルガンスタンレー証券 東銀リース 三菱UFJフィナンシャルパートナーズ
信託・銀行 証券 リース 銀行代理業務

三井住友銀行関連会社

SMBC信託銀行 エー・アイキャピタル SMBCコンサルティング SMBC債権回収
銀行業務、信託業務 投資運用業務、投資助言業務 会員事業、セミナー事業 債券管理拐取業務

※実際に出向者を受け入れているかなどの詳細は不明

出向した後の「年収」

矢印 お金

年収は銀行在籍時の半分近く

銀行員 出向

出向をすると収入は半分に分近くまで下がることがあります。

人間は生活水準を下げる事は難しいです。

そのため、月々の収入が半分近くまで下がると、支出の見直しを迫られます。

旅行の頻度や、旅行の場所、高級店への外食、娯楽品の購入、ゴルフへの行く回数。

今まで普通に行ってきたものが突然にできなくなります。

【関連会社】

銀行員の副業 「家でもカフェでも」場所に縛られない稼ぎ方!

 

半沢直樹

ドラマ半沢直樹で出てきたような

「銀行上層部の役員から疎まれて出向させられる」ようなこと

「銀行上層部を見返すために、反旗を翻すようなこと」はほぼありません。

人事部から出向命じられたら、おとなしく辞令に従います。

まとめ

出向という言葉に対して、良いイメージはあまりなかったと思います。

しかし、銀行にとっては必要なシステムであり、銀行員はそのシステムを理解しています。

そのため、銀行員は若いうちから休日を返上して資格の勉強をして、平日は営業で実績を上げてアピールします。

この出向と出世コースから外れないということが

銀行の仕事は激務であり、ストレスを伴うというイメージに繋がっているのかもしれません。